箕浦は何をしている会社ですか?
1933年創業の、自転車関連製品の総合メーカーです。特に、自転車トレーナー(自転車を室内で固定し、自転車のトレーニングを行うための機器)の分野では世界初の開発メーカーとして知られ、トレーナーの他、ストレージ(保管用スタンド)やアクセサリー類など幅広い製品を手がけています。

どんな歴史を持った会社ですか?
初代社長が手掛けたのは、当時の地場産業(特定の地域に根付いた産業。例えば飛騨牛や美濃焼など)であった繊維産業に使う綿花を輸入する際の鉄バンドをリサイクルして、自転車の荷台やスタンドに作り替えることでした。今でも類似のものが郵便局や氷屋さんの配達自転車などに見ることができます。
転機が訪れたのは、1980年代。海外の展示会を訪れ、新しい世界を目にした3代目社長が「自分たちの名前で勝負する時だ」と決意し、自転車選手のトレーニングに使う「3本ローラー」や、自転車を整備するための「ワークスタンド」といったオリジナル製品の開発に乗り出しました。この挑戦は成功を収め、箕浦は自転車トレーナー分野で世界初のメーカーとしての地位を築きました。現在国内に競合はいないと言っても過言ではありません。
会社として大切にしている考え方は何ですか?
ホームページには「誠実に企業文化を守り、常に新しいビジネスに挑戦し、会社発展により社会に貢献する」という3代目社長の理念を掲げていますが、初代社長からずっと受け継いでいるのは「和を以て貴しとなす」です。これまでもこれからも、みんなで仲良くやっていくということを大切にしています。

会社の雰囲気はどんな感じですか?
親子ほど年の離れた社員同士が働くこともあるので、年上の社員たちは「親のように若い社員を見守る」、年下の社員は「子どものように年上の社員を敬う」ということを言っています。それでも、万が一人間関係でトラブルが起きたときには上司が指導されることになっています。当社では年長者はまぁるく、とがっていいのは若手だけです。年に1回は社長面談も実施して、社員たちの声を聞いています。
また、誰でも意見を出しやすいのも特長です。例えば、開発会議には部署を問わず参加できるので、「こんな機能があれば便利になる」「もっと使いやすくするにはこうしたらどうか」といった意見が活発に交わされます。高卒社員や新入社員のフレッシュな視点が重視され、社員の提案が実際の商品開発に役立つこともあります。アイデアが採用され、実際に製品化されることは、特に自転車が好きな社員にとって大きなやりがいにつながっています。

仕事のやりがいは何ですか?
スーパーや観光地、自転車ショップなどで「MINOURA」のロゴが刻まれたスタンドやアクセサリーが使われているのを目にすると、「自分の仕事が社会で活かされている」と感じ、大きなやりがいにつながります。
また、海外のユーザーにも支持されていることを知ると、自分たちの仕事が世界にも貢献しているという誇りを感じます。

高卒者のキャリアパスは?
私たちの会社は高卒者が4割を占め、会社を支える重要な役割を担っています。特に工場や事務の現場では、多くの高卒者が活躍しています。
入社後の半年間はいろいろな部署を体験してもらいます。その後、本人の希望や入社面接時の適性試験の結果を考慮して、配属先が決まります。この配属先は基本的にはずっと変わりません。なぜなら、慣れた仕事を続けることで技術や知識をしっかり身につけられるからです。
ただし、「違う仕事に挑戦したい」「今の部署にどうしても合わない人がいる」といった場合には、部署を変えることも可能です。社員一人ひとりが働きやすい環境を一番に考えています。

地域との結びつきはありますか?
私たちの会社は地場産業ではありません。しかし、地域と仲良くしていきたいと考え、数年前から自転車レースを主催しています。
このレースは、地元のスポーツ公園を活用して行われ、ブレーキのない「ピストバイク」を使用したロードレース形式で実施されています。警察の許可を得て道路封鎖し、本格的な競技として開催されています。
最初は地元の方も遠くから見ているだけでしたが、今では多くの人が楽しみにするイベントに成長しました。また、他ではあまりやっていないレースなので、九州などの遠方からも参加者が集まり、全国的に注目されるレースになっています。
今後会社としてどのように成長していく予定ですか?
自転車を使った荷物の運搬に注目しています。最近、ヨーロッパでは近い距離の荷物配達に自転車を使う方法が人気です。これは環境に優しく、駐車スペースもいらない便利な仕組みだからです。
ただ、現在の日本では自転車の大きさに関する法律があって、荷物をたくさん運べる特別な自転車がまだ広く使えません。しかし、少しずつ規制が緩和されてきているので、将来的には荷物用自転車(カーゴバイク)のニーズが増える可能性があります。ですから、これからは自転車を人だけでなく荷物も運べる道具として活用し、その可能性を広げようと考えています。
どんな学生に来てほしいですか?
自転車が好きな人を求めています。自転車に興味があることが仕事を楽しむための大前提だからです。そのうえで、新しいことに挑戦する意欲のある人や、ものづくりが好きな人、他の人の意見を素直に受け入れて自分でものごとを考えられる人が向いています。
反対に、採用を避けたいのは自転車に興味がない人や、社会常識が欠けている人です。たとえば、面接での服装や態度がだらしない人、他人任せで自分から努力しない人は当社には合いません。また、ものづくりでは手先の器用さが必要なので、簡単な作業でも苦手な人は難しいと言えるでしょう。
箕浦会長ってどんな人ですか?
学生時代は自転車が好きで、特にツーリングに夢中になっていました。高校の夏休みには、岐阜から東京まで自転車で旅をしたこともあります。エンジンのない自転車で、どこまで自分の力で進めるのかを試すのが楽しかったことを覚えています。私にとって自転車は「自分を遠くまで連れて行ってくれる道具」でした。
箕浦家の長男に生まれたことで後継ぎになることは決まっていましたが、飛行機も好きだったのでパイロットに憧れたこともありました。ただ、当時の条件だった裸眼視力1.2以上に届かず、その夢は諦めました。しかし、今でも飛行機への思いは強く、旅客機を見るのも乗るのも大好きです。
趣味は映画鑑賞(洋画邦画問わず)やプラモデル作り、オートバイに乗ることです。還暦を過ぎましたが、もう一度バイクで日本一周したいと思っています。

人生のモットーは何ですか?
相田みつをさんの言葉に「やれなかった やらなかった どっちかな」という言葉があります。私はこれを「やれなかったのではない やらなかったんだな」と解釈して、いつも自分を顧みています。
また、何かをするときは「死ぬこと以外かすり傷」という言葉を胸に取り組んでいます。人間あきらめなければ、だいたいのことはうまくいくものです。
高校生にメッセージをお願いします
新しい場所に飛び込むのは今まで慣れた環境と違うことも多く、最初は大変かもしれません。でも、まわりの人たちと上手くなじんで、一緒に働くことを楽しめるようになってほしいと思っています。
当社で何かやろうとするとき、率先して力を発揮するのは若手社員です。若手には大いに期待しています。